認知症の相続トラブルは大変!よくある6つの事例と対処法を立川の弁護士が解説!

高齢化が進む現代社会において、認知症はますます身近な問題となっています。家族の中で認知症を患う方が増えると、その影響は健康面だけでなく、財産の管理や相続にも及びます。今回は「認知症の相続トラブル」という観点から、起こりやすい問題とその対策についてご紹介します。

目次

認知症の相続人は遺産分割に参加できるのか?

遺産分割の際にまず確認すべきは、「意思能力」があるかどうか、つまり、遺産分割について自ら判断し意思を示すことができるかどうかです。

認知症の方でも、症状の進行が浅い段階ではある程度の意思表示が可能な場合がありますが、進行状況によっては判断力が十分でない可能性もあります。そのため、認知症の方が遺産分割に参加できるかどうかは慎重に判断する必要があります。

認知症が進行していない段階であれば、本人が参加して円満に遺産分割の合意に達することも可能です。ただし、その際に本当に判断力があったのかが、後から問題視されるリスクがあります。たとえば、家族間で遺産分割が合意されても、その後、状況の変化や評価額の変動などで不満が生じることがあるためです。

例として、不動産の相続に関する合意が成立した場合、その後、相続時の評価額が変動し、後から不公平感が出ることがあります。このような事態を防ぐためには、家族間での合意が成立した時点で、その合意内容を法的に明確にしておくことが重要です。

法律的な観点から言えば、認知症の方の意思能力が不明確な場合、成年後見人を選任し、その後見人と共に話し合いを進めることで、後に問題が蒸し返されるリスクを軽減できます。しかし、実際には、成年後見人をつけるまでの対策を講じるケースは少ないのが現状です。ただし、後になって揉め事が発生するケースも少なくないため、予防的な法務の観点から適切な対応を考えることが大切です。

具体的な対策としては、成年後見人を選任するか、意思能力がしっかりとあることを医師に証明してもらう方法があります。こうすることで、後々のトラブルを防ぎやすくなります。

また、成年後見人を選任することで、お母様の財産管理が厳格になるという側面もあります。たとえば、年間110万円以下の贈与を行う際も、成年後見人がいることで、財産の移動が制限される場合があるため、慎重な判断が求められます。

このように、認知症の相続人が関わる遺産分割では、事前の準備と慎重な判断が重要です。家族間のトラブルを未然に防ぐためにも、専門家のアドバイスを受けながら、適切な法的対応を考えることをお勧めします。

認知症に伴うよくある6つの相続トラブル事例

認知症の進行によって意思能力が低下した場合、相続に関するトラブルが発生しやすくなります。以下では、認知症に伴う相続トラブルの代表的な事例を紹介します。

トラブル事例1:無効な遺言書の作成

認知症の進行によって意思能力が低下した状態で遺言書を作成した場合、その遺言書が無効とされることがあります。

そうなると、その内容が親族間で意見の対立を招くことがあります。この場合、他の相続人が遺言書の無効を主張し、遺産分割をめぐる法的争いに発展してしまうことがあるので注意が必要です。

弁護士 御厨

遺言の有効性の争点になりやすいのが認知症です。

トラブル事例2:財産管理をめぐるトラブル

認知症が進行すると、本人が自分の財産を適切に管理できなくなる場合があります。この状況下で、家族の一人が財産管理を代行していると、他の家族や相続人から「不当な管理」や「財産の私的流用」といった疑念が生じることがあります。

たとえば、親が認知症を患っている間に、長男が親の口座から大きな金額を引き出した場合、それが必要経費だったのか、私的流用だったのかをめぐって兄弟間で対立が起こる可能性があります。

弁護士 御厨

遺産を勝手に使ってしまったということも、認知症を患ったご両親がいる場合に発生しやすいです。

トラブル事例3:成年後見人の選任をめぐる争い

認知症が進行した場合、成年後見人を選任して財産管理を行うことが必要になることがあります。しかし、誰を成年後見人にするかについて、家族間で意見が分かれることがあります。

たとえば、子どもたちの間で「後見人を誰にするか」「後見人に報酬を支払うべきか」などで意見が対立し、家庭裁判所での調停にまで発展することもあります。

弁護士 御厨

後見人は利害が発生しない専門家を選ぶことも主流になってきていますよ。

トラブル事例4:家族間の不平等感によるトラブル

遺産分割の際に、認知症の親が判断力を失った状態で一部の相続人に有利な内容が話し合われた場合、他の相続人が「不平等だ」と感じることがあります。

たとえば、認知症の父親が長男と同居している状況で、長男に有利な条件で遺産分割の話し合いが進んだ場合、他の兄弟が異議を唱えることがありえます。これにより、家族内での信頼関係が損なわれ、相続をめぐるトラブルが深刻化することがあります。

弁護士 御厨

認知症を患ったご両親がいる方は要注意です。

トラブル事例5:財産処分に関するトラブル

認知症の親が意思能力を失った後、財産の処分に関するトラブルが発生することもあります。たとえば、親が生前に土地を売却したり、不動産を贈与したりした場合、その行為が認知症の影響で判断力が欠如していた時期に行われたと主張されることがあります。これにより、贈与や売却の無効を求める訴訟が起こることがあります。

トラブル事例6:親族間でのコミュニケーション不足によるトラブル

認知症の親を介護する過程で、家族間のコミュニケーションが不足し、それが原因で相続に関する誤解や対立が生まれることがあります。

たとえば、ある兄弟が親の介護を一手に引き受けている場合、他の兄弟がその状況を十分に理解していないと、相続時に「自分ばかりが不公平な負担を負っている」といった感情が生じ、これがトラブルに発展することがあります。

弁護士 御厨

介護をしていた方と、そうでない方がその貢献について揉めてしまうこともよくあるパターンですね。

認知症による相続トラブルを防ぐための対策3つ

認知症が原因で相続トラブルが発生するリスクを減らすためには、早期の対策が重要です。以下の方法を検討してみてください。

対策①:遺言書の早期作成

認知症による相続トラブルを防ぐためには、早期に遺言書を作成することが重要です。

遺言書を早期に作成しておくことで、本人が意思能力を持っているうちに相続の意思を明確に示すことができ、後々のトラブルを未然に防ぐことができるからです。認知症が進行して意思能力が低下すると、本人の意思を正確に反映した遺言書の作成が難しくなるため、早期の準備が不可欠です。

例えば、ある家庭では、父親が認知症を発症する前に公正証書遺言を作成していました。この遺言書には、財産の分配方法や特定の家族への贈与が明確に記されており、親族間での意見の食い違いが起こることはありませんでした。一方、別の家庭では、認知症が進行した後に遺言書が作成されたため、その内容を巡って親族間で法的な争いが起こり、長期間にわたるトラブルが発生しました。

このように、遺言書を早期に作成することで、認知症に伴う相続トラブルを防ぐ効果が期待できるため、早めの準備が重要です。

対策②:任意後見の活用をする

認知症に伴う相続トラブルを防ぐためには、任意後見契約の活用が効果的です。

任意後見契約を活用することで、本人が意思能力を持っている間に信頼できる人を後見人として選び、財産管理や生活の支援を委任することができるため、認知症の進行後も本人の意思に基づいた適切な財産管理が行われ、親族間での争いを防ぐことができます。

例えば、Aさんは認知症と診断される前に、長年信頼している親族を任意後見人として選び、財産管理を依頼する契約を結びました。この結果、Aさんが意思能力を失った後も、後見人がAさんの希望に沿った形で財産を管理し、生活費の支出を行うことができました。Aさんの家族も後見人に対する信頼を持ち、遺産相続をめぐるトラブルは一切起きませんでした。

このように、任意後見契約の活用は、認知症による相続トラブルを事前に防ぐための有効な手段となります。

対策③:専門家のアドバイスを受ける

認知症に伴う相続トラブルを回避するためには、早い段階で専門家のアドバイスを受けることが重要です。

専門家からの助言を受けることで、法的リスクや手続きの不備を事前に確認でき、相続に関する問題を未然に防ぐことができます。また、専門家の視点から適切な相続計画を立てることで、家族間の意見の相違を調整しやすくなり、相続手続きを円滑に進めることができます。

Bさんの家族は、認知症を患う母親の相続について、早い段階で弁護士に相談しました。弁護士の助言により、母親がまだ意思能力を有しているうちに公正証書遺言を作成し、相続に関するすべての手続きを整えることができました。この結果、母親の死後も遺産分割で争うことなく、家族全員が満足する形で相続が完了しました。

このように、専門家のアドバイスを早期に受けることで、認知症に関連する相続トラブルを回避し、安心して相続手続きを進めることが可能となります。法律や税務に詳しい専門家の助言を受けることで、法的なリスクを最小限に抑えることが可能です。

まとめ

認知症が進行すると、本人だけでなく家族や親族にとっても多くの困難が生じる可能性があります。特に、財産の管理や相続に関する問題は、事前の準備と対策が不可欠です。認知症の相続トラブルを防ぐために、早期に適切な対応を心がけ、専門家の力を借りながら計画的に進めていくことが大切です。

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この記事を書いた人

弁護士|注力分野:相続

現在は立川の支店長弁護士として相続分野に注力して奮闘しております。今後も相談者の心に寄り添い、活動していく所存です。どのような法律問題でも、お気軽にご相談ください。

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