遺産分割協議書とは?
遺産分割協議書は、遺産分割協議で合意した内容をまとめた書類です。遺産分割協議には相続人全員の参加が必要で、話し合いによって遺産分割の方法と相続の割合を決定します。相続人全員の合意が得られたら、その内容をまとめた遺産分割協議書を作成します。
実印を押印して全員が1通ずつ所持
遺産分割協議書には決まった書式はありませんが、相続人全員が署名し、実印を押印する必要があります。また、印鑑証明書を添付し、相続人全員が同じものを1通ずつ所持します。作成後、相続人単独でその内容を変更することはできず、変更には相続人全員の合意が必要です。慎重に内容を検討し、合意することが重要です。
遺産分割協議書が必要な状況
遺産分割協議書の作成が必要になるのは、主に以下の場合です:
- 遺言書がなく、法定相続分とは異なる遺産分割を行う場合
- 遺言書に記載されていない財産が発覚した場合
遺言書の内容どおりに遺産分割する場合や、法定相続分どおりに遺産分割する場合は、遺産分割協議書を作成する必要はありません。しかし、それ以外の方法で遺産分割を行う場合には、相続登記などで遺産分割協議書が必要になることがあります。
遺産分割協議書作成の流れ
遺産分割協議書は以下の手順で作成します。
相続人を確定させる
遺産分割協議を行うためには、まず協議に参加する相続人を確定する必要があります。被相続人の戸籍謄本などを取り寄せて確認し、認知された子供も含め、全ての相続人を特定します。詳細は「相続は早めに対策を!相続の基礎知識と注意点」をご覧ください。
被相続人の財産を確定させる
相続人の確定と同時に、被相続人が所有していた財産を調べます。現金、預金、不動産などのプラスの財産だけでなく、借入金やローンなどのマイナスの財産もすべて把握し、財産目録を作成します。また、遺産分割協議の前には遺言書の有無を確認し、後から遺言書が見つかることでトラブルを避けましょう。
遺産分割協議を行う
相続人と相続財産が確定したら、相続人全員で遺産の分割方法を話し合います。遠方に住む相続人や仕事の都合で参加できない相続人がいる場合は、電話などで意思を確認する必要があります。相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10か月後です。協議に時間がかかる場合もあるため、早めに財産を特定し、遺産分割協議を開始しましょう。合意が得られなければ家庭裁判所で遺産分割調停を行い、それでも合意できない場合は遺産分割審判となります。
合意内容を記載して遺産分割協議書を作成する
遺産分割協議で合意が得られたら、遺産分割協議書を作成します。書式に決まりはありませんが、以下の項目を記載します
- 被相続人の名前と死亡日
- 相続人が遺産分割内容に合意していること
- 相続財産の具体的な内容(例:預金の場合は銀行名・支店名・口座番号)
- 相続人全員の名前・住所と実印の押印
相続人全員が実印を押印し、印鑑証明書を添付して、各自が1通ずつ所持します。作成後、相続人単独での変更はできず、変更には相続人全員の合意が必要ですので、慎重に内容を検討しましょう。
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遺産分割協議書が必要になる手続き
相続にあたっては、以下の手続きで遺産分割協議書が必要になります。
遺産分割協議書が必要な手続きと提出先
手続き内容 | 提出先 |
---|---|
預金の名義変更・払い戻し | 金融機関 |
株式の名義変更 | 証券会社 |
不動産の名義変更 | 法務局 |
自動車の名義変更 | 運輸支局 |
相続税の申告 | 税務署 |
手続きによっては遺産分割協議書が不要な場合もあります。なお、相続税の申告・納付期限は相続開始を知った日の翌日から10ヵ月以内と定められていますが、名義変更の期限は決まっていません。しかし、名義変更を長期間放置すると、相続人が亡くなり新たな相続が発生することで手続きが複雑化しますので、できるだけ早めに手続きを行いましょう。
遺産分割協議書が必要ない場合
遺産分割協議を行う必要がなく、遺産分割協議書も作成しなくて良い場合もあります。
例えば、相続人が1人であれば、その人が全ての財産を相続するため、遺産分割は発生しません。また、遺言書に従って遺産分割を行う場合も、遺産分割協議は不要です。
ただし、遺産分割協議書が不要な場合でも、将来的なトラブルを避けるために作成することがあります。例えば、遺言書に記載されていない財産が後から発見される可能性があります。このような場合に備えて、誰がどのように相続するかを協議し、遺産分割協議書を作成しておくことも一つの方法です。