相続財産の全貌!相続財産に含まれるもの7選

相続財産と言えば、現金や預貯金、不動産をイメージする方が多いかもしれませんが、実際にはそれだけではありません。有価証券や動産、賃貸人としての権利など、多種多様な資産が相続財産に該当します。また、借金などの債務も相続の対象となるため、相続が発生した際には被相続人の財産全体をしっかりと調査する必要があります。一方で、死亡保険金や死亡退職金は遺族固有の財産として扱われるため、相続財産には含まれず遺産分割の対象にはなりませんが、相続税の課税対象にはなるので注意が必要です。

目次

相続財産に含まれるもの

相続において、どの財産が相続対象となるのかを理解することは重要です。以下に該当する財産は、相続財産として遺産分割の対象になるだけでなく、相続税の課税対象にもなります。

  • 現金・預貯金
  • 不動産
  • 有価証券
  • 自動車や骨とう品・絵画・宝石などの動産
  • 賃貸人・賃借人などの地位
  • 損害賠償請求権・義務などの権利・義務
  • 借金や滞納料金・税金などの債務

それぞれの財産がどのようなもので、どのように評価されるのかについて詳しく解説します。

現金・預貯金

現金や預貯金は、被相続人の死亡時点の残高を基に相続税評価額が計算されます。日常的に使用されていた口座は把握しやすいですが、定期預金やあまり利用されていなかった口座についても確認が必要です。

不動産

被相続人の住居だけでなく、賃貸用の不動産や農地なども相続財産に含まれます。不動産の調査の際は、権利証や登記識別情報通知を探し、名寄帳を取得することで、不動産情報の一覧を得ることができます。

有価証券

上場株式や投資信託、非上場株式なども相続財産となります。証券会社での名義変更手続きが必要で、非上場株式は専門家による評価が推奨されます。

自動車や骨とう品・絵画・宝石などの動産

自動車や骨とう品、絵画、宝石などの市場で売却できる価値のある動産も相続財産に含まれます。これらの価値を正確に把握するためには、買取業者に査定を依頼するのが一般的です。

賃貸人・賃借人などの地位

賃貸契約に基づく権利も相続されます。再契約をすることで契約者を明確にする場合が多く、敷金の返還要求も可能です。

損害賠償請求権・義務などの権利・義務

損害賠償請求権や債務も相続されるため、大きな損害賠償債務を相続する場合は、相続放棄の検討も必要です。

借金や滞納料金・税金などの債務

借金や未払いの税金も相続財産に含まれます。マイナスの財産が多い場合は、相続放棄を検討することが重要です。

相続放棄は、相続人であることを知ってから3ヶ月以内に行う必要があるため、早めの判断が求められます。

相続財産に含まれないもの

相続財産には含まれないものもあります。以下の資産は、相続財産には該当しないため、遺産分割や相続税の課税対象から外れます。

  • 被相続人に専属する権利
  • 祭祀財産
  • 香典

それぞれについて詳しく見ていきましょう。

被相続人に専属する権利

生活保護受給権や養育費の受取権など、被相続人に個別に帰属する権利は相続の対象になりません。これらの権利は他の人に引き継ぐことができない性質のためです。

祭祀財産

仏壇や仏具、お墓などの先祖供養のための祭祀財産も相続財産に含まれません。これらは相続人とは別に祭祀承継者が引き継ぐものとされています。そのため、相続放棄した場合でも、お墓の管理を続けることが可能です。

香典

香典は被相続人の財産ではなく、喪主が受け取るものとされます。ただし、高額な香典や社葬の場合には課税の注意が必要です。特に、社葬で会社が香典を受け取った場合には法人税が、遺族が受け取った場合には贈与税の対象となる可能性があります。専門家に確認しておくと安心です。

相続財産には含まれないが相続税が課されるもの(みなし相続財産)

以下の財産は相続財産としては扱われませんが、相続税の課税対象となる「みなし相続財産」として扱われます。

  • 死亡保険金
  • 死亡退職金
  • 弔慰金
  • 死亡3年前までに相続人に贈与された財産

これらには非課税枠が設けられているため、確認しておくことが重要です。

死亡保険金

死亡保険金は被相続人の財産ではなく、指定された受取人の固有財産として扱われます。相続税の課税対象ではありますが、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。相続対策として生命保険を利用するケースもよく見られます。

死亡退職金

死亡退職金も相続財産には含まれず、遺族固有の財産として支給されます。ただし、相続税の課税対象となるため、「500万円 × 法定相続人の数」の非課税枠が適用されます。

弔慰金

故人の勤務先から支給される弔慰金も、遺族の財産として扱われます。以下の非課税枠が設定されています

  • 業務上の死亡:給与月額の36ヶ月分
  • 業務外の死亡:給与月額の6ヶ月分

この枠を超えた分は退職金とみなされ、相続税の対象となります。

死亡3年前までに相続人に贈与された財産

被相続人の死亡前3年間に相続人に行われた贈与も、相続税の課税対象です。これは、相続税回避を目的とした生前贈与を防ぐためです。既に支払った贈与税は、相続税申告時に控除可能です。

弁護士 御厨

相続財産にはさまざまな種類が含まれるため、遺産分割協議や相続税申告をスムーズに進めるためには、相続財産を正確に把握しておくことが重要です。特に、遺産分割協議には期限がありませんが、相続税申告には相続開始から10ヶ月以内という期限があります。
期限内に正確に相続税の計算と申告を完了させるためにも、相続財産の調査については、相続の専門知識を持つ弁護士に相談することをお勧めします。

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この記事を書いた人

弁護士|注力分野:相続

現在は立川の支店長弁護士として相続分野に注力して奮闘しております。今後も相談者の心に寄り添い、活動していく所存です。どのような法律問題でも、お気軽にご相談ください。

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