依頼前の状況
相談に来られたBとDさんは3人兄弟のそれぞれ、長男と長女でした。
被相続人である母は、生前、公正証書遺言を残しており、その内容は、不動産等遺産のほぼすべてを二男Cに相続させるというものでした。
遺言の作成時期は、被相続人の母が介護施設に入所する3カ月程前で、既に認知症の症状が現れていたということで、その遺言は、当時、母の預金等を管理していた二男が公証人役場に連れて行って作らせたものだろうということでした。
依頼内容
認知症で既に意思能力がない状態でなされた遺言は無効になるので、遺言を無効としたうえで遺産分割協議を行うということも視野に入れましたが、明確な医学的証拠がないため、遺言の無効を確認する訴訟を提起してかかる時間と費用について説明をしたうえ、結論的には、遺言の有効性を前提とした遺留分減殺請求で協議を進めました。
結果として早期に協議をまとめ、BさんDさんそれぞれ2000万円づつ価格弁償を受けることで解決となりました。
対応と結果
特定の推定相続人が関与したと思われる遺言は、内容がこのケースのように極端ですと、遺言の有効性から問題になることも多いです。
そうでなくとも、特別の事情がないのに特定の相続人にのみたくさんの遺産を与える遺言は、せっかく遺言をしたにもかかわらず、被相続人の死亡後になって相続人同士の争いを引き起こすことになってしまします。
しかも、その場合には、生前の被相続人の預金の動き等ありとあらゆる問題が噴出し、感情的になり、すべての当事者が疲弊する泥仕合になりかねません。
このような場合にも、冷静に証拠に照らしながら事件の行く末を見据えつつ、迅速に事件を解決する方向性を示すことが大切であると考えています。
このケースでも、この方向性について丁寧に分析と説明をした結果、早期の解決につながりました。