遺言執行者のトラブルと対処法を弁護士が解説!

遺言執行者をめぐるトラブルは、遺言内容と相続人の意思の不一致、遺言文言の曖昧さ、執行者自身の不適切な対応などが原因で起こります。遺留分侵害の確認や相続人全員の合意形成、専門家への委任など適切な対応をとることで、相続手続きを円滑に進め、無用な争いを防ぐことが可能です。

目次

遺言執行者の役割

遺言を作成しても、その内容が確実に実現されるかどうか不安になることはよくあります。遺言が効力を発揮するのは遺言者の死後であり、その実行は遺された人々に委ねられます。遺言の実現を確実にしたい場合、遺言執行者を事前に指定することが考えられます。

遺言執行者は、遺言の内容を実行する義務と権限を持つ人物です。遺言執行者が就任すると、相続財産の管理や処分権は遺言執行者に移り、相続人はこれらの権限を失います。遺言執行者は強い権限を持つ一方で、遺言の内容を実現するために重い法的義務を負っています。具体的には、相続人に対し就任の通知を行い、財産目録を遅滞なく交付する義務があります。

よくある遺言執行者トラブル

遺言執行者は遺言の内容を実現する責任を負っていますが、現実にはその役割を果たさないケースもあります。中には、相続財産の管理権を悪用し、財産を不正に払い戻してしまう例も見られます。このような場合、相続人はどのように対処すればよいのでしょうか?

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相続人の意思と遺言の内容が異なる場合のトラブル

解決策①:遺言執行者が遺留分侵害を事前に確認する
遺言執行者は、被相続人の遺志を尊重して手続きを進めます。しかし遺言の内容が相続人の希望と異なる場合、争いに発展することがあります。さらに、遺言のとおりに進めると遺留分(配偶者や子などが必ず取得できる最低限の相続分)を侵害する可能性もあります。

遺留分を持つ相続人が権利を放棄する場合もありますが、主張すればトラブルにつながるため注意が必要です。
そのため、遺言執行者は相続人の確定と財産調査が済んだ段階で、遺言内容が遺留分を侵害していないか確認しましょう。侵害がある場合には、該当する相続人に意思を確認することが大切です。

解決策②:相続人全員の合意がある場合は早めに伝える
原則として遺言執行者は遺言書に基づいて手続きを行い、相続人の意思を確認する必要はありません。
しかし、相続人全員の合意がある場合には、遺言内容よりもその合意が優先されます。遺言に不服があり、遺産分割協議を行いたい場合は、できるだけ早く遺言執行者に伝え、執行を待ってもらうようにしましょう。

遺言書の文言が曖昧な場合のトラブル

解決策:協議のために遺言執行を一時的に停止してもらう
公正証書遺言は専門家が関与するため明確に記載されることが多いですが、自筆証書遺言では故人の意思が抽象的に書かれている場合があり、解釈をめぐって争いが生じやすくなります。

遺言文言の解釈について遺言執行者と相続人の間で食い違いがある場合は、相続人から遺言執行を一時的に止めてもらうよう依頼し、遺言執行者を含めて協議することが重要です。
また、遺言執行者側も複数の解釈が可能な場合には、相続人の意向を確認してから手続きを進めることで、将来的なトラブルを防ぐことができます。

遺言執行者に問題がある場合のトラブル

解決策①:遺言執行者が辞任する
遺言執行者が大病を患うなど、執行が事実上困難となった場合、そのまま放置すると相続手続きが滞り、紛争の原因となります。正当な理由があれば、家庭裁判所の許可を得て辞任することが可能です。

解決策②:遺言執行者を解任する
遺言執行者が手続きを全く進めなかったり、特定の相続人にだけ有利な行為を行ったりする場合は、家庭裁判所に申し立てることで解任を求められる可能性があります。
ただし、解任が認められるには十分な証拠と正当な理由が必要です。

解決策③:専門家に遺言執行を委任する
実際には、辞任や解任は家庭裁判所の判断を要するため容易ではありません。
そこで近年の法改正により、行政書士や司法書士などの専門家に遺言執行事務を委任できるようになっています。遺言執行者が多忙で手続きを進められない場合や、相続人との対立が予想される場合には、専門家の関与を検討するとよいでしょう。3. 対処法①:遺言執行者に遺言内容の実行を求める

まずは、遺言執行者に対して遺言内容の実現を求める対応が考えられます。内容証明郵便を送付し、正式に遺言の実行を要求する方法です。それでも執行者が動かない場合、訴訟を提起して遺言の履行を請求することが可能です。

ただし、この方法は解決までに時間がかかる上、訴訟中に執行者が相続財産を処分してしまうリスクもあります。執行者が遺言内容を実行する可能性がある場合に有効な手段です。

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この記事を書いた人

弁護士|注力分野:相続

現在は立川の支店長弁護士として相続分野に注力して奮闘しております。今後も相談者の心に寄り添い、活動していく所存です。どのような法律問題でも、お気軽にご相談ください。

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