相続が原因で兄弟との縁が切れるケースは少なくありません。感情的な対立や法的な問題が絡むことで、深刻な関係の悪化につながることがあります。本記事では、相続を巡る兄弟間のトラブルや縁を切る前に知っておくべきポイント、そして法的な対応策について詳しく解説します。家族関係を保ちながら、円満な相続解決を目指すためのヒントを提供します。
絶縁や勘当された兄弟姉妹も相続権を有する
結論として、たとえ兄弟が絶縁されていたり、両親から勘当されていたとしても、他の兄弟姉妹と同様に相続権を持ちます。したがって、被相続人が遺言書を残していない場合、絶縁中の兄弟姉妹も含めたすべての相続人で遺産分割協議を行い、それぞれの相続分を決定する必要があります。
また、相続権だけでなく、遺留分に関しても同様の権利が認められています。そのため、仮に両親が遺言書で絶縁中の兄弟姉妹に財産を遺さないように指定していたとしても、遺留分を請求された場合には、最低限度の遺産を渡さなければなりません。
絶縁中の兄弟姉妹に起こりやすい相続トラブル
絶縁中の兄弟姉妹がいる場合に起こりやすいトラブルの一つは、その兄弟姉妹の連絡先がわからず、遺産分割協議が進められないことです。被相続人が遺言書を作成していなければ、遺産の名義変更にはすべての相続人の同意が必要となります。このため、絶縁中の兄弟姉妹が関与できない状況では、他の相続人も遺産を受け取れなくなる可能性があります。
絶縁中の兄弟姉妹の行方がわからない場合や生死不明の状態であれば、不在者財産管理人の選任や失踪宣告などの手続きが必要になることもあります。
さらに、絶縁中の兄弟姉妹の居場所が判明したとしても、相続手続きに協力しない場合、トラブルが生じることがあります。相続人同士で遺産分割協議がまとまらない場合、遺産分割調停や遺産分割審判といった法的手続きを取らなければならないケースも少なくありません。
絶縁中の兄弟姉妹の連絡先や行方がわからないときの対処法
絶縁中の兄弟姉妹であっても相続権を有するため、相続が発生した場合には協力して遺産分割協議や相続手続きを進める必要があります。そのため、まずは連絡先や所在を特定することから始めましょう。兄弟姉妹の所在調査は、戸籍の附票や住民票を取得して行います。
もし戸籍の附票や住民票を取得しても所在がわからない場合は、不在者財産管理人の選任が必要です。不在者財産管理人は、行方不明の相続人に代わって相続財産を管理します。この選任後、不在者財産管理人と他の相続人で遺産分割の話し合いを行うことになります。
また、兄弟姉妹が生死不明の状態が7年以上続いている場合は、失踪宣告の申立てが可能です。失踪宣告が認められれば、その兄弟姉妹は死亡したものとみなされ、残りの相続人で相続手続きを進められます。
絶縁中の兄弟姉妹との相続トラブルを回避する方法
絶縁中の兄弟姉妹との相続トラブルを避けるためには、他の相続人に間に入ってもらったり、直接会うのではなくメールや手紙でやり取りするなどの方法が有効です。以下の具体的な方法を活用してトラブルを回避しましょう。
他の兄弟や相続人に仲介を依頼する
他の相続人が間に入ることで、手続きをスムーズに進めることができる場合があります。
手紙やメールでのやり取り
遺産分割協議は、直接会う必要はありません。手紙やメールで協議を進めることも可能です。LINEやメールを使って話し合いが成立すれば、その内容を基に遺産分割協議書を作成できます。
弁護士などの専門家を介する
絶縁中の兄弟姉妹が相続手続きに協力しない場合や、話し合いがうまくいかない場合は、弁護士に依頼して仲介してもらうことが有効です。
相続対策をしておく
両親がまだ健在であれば、遺言書の作成など相続対策を進めてもらうことで、絶縁中の兄弟姉妹とのトラブルを回避することができます。次のセクションで、絶縁中の兄弟姉妹に財産を遺さない方法について詳しく解説します。
絶縁した兄弟姉妹に財産を遺さない方法
絶縁中の兄弟姉妹に財産を遺さないためには、遺言書の作成などの相続対策を行うことが重要です。また、条件を満たす場合には、相続人廃除や相続欠格が認められることもあります。以下、それぞれの方法について説明します。
相続人廃除
相続人廃除とは、被相続人に不利益を与える行為を行った人の相続権を奪う制度です。これは遺言書による廃除や、被相続人が生前に家庭裁判所に申立てる方法がありますが、すべてのケースで認められるわけではありません。
相続欠格事由
相続欠格に該当する行為があれば、その相続人は永久に相続権を失います。これは、被相続人を殺害しようとしたり、無理やり遺言書を書かせた場合などに該当します。相続欠格は裁判所への申立てが不要です。
遺言書の作成
相続人廃除や相続欠格が難しい場合、遺言書を作成して、絶縁中の兄弟姉妹に財産を渡さないようにすることも有効です。ただし、遺言書があっても、配偶者や子供には遺留分が認められているため、最低限度の遺産を受け取る権利があります。
生前贈与
生前贈与を行い、絶縁中の兄弟姉妹以外の相続人に財産を移転させておくことも有効です。ただし、相続人への生前贈与は特別受益に該当する場合があるため、注意が必要です。
たとえ絶縁中の兄弟姉妹であっても、親が亡くなった際には実子として相続権を持ちます。遺言書がない場合、相続人全員で遺産分割協議を行う必要がありますが、絶縁中の兄弟姉妹と連絡を取りたくない、または連絡先がわからない場合も少なくありません。
そういったお悩みがある場合は、専門家へぜひご相談ください。