遺言書作成の重要性
遺言書を作成するためには、まずご自身の思いや財産を整理し、相続人にどのように相続させたいかを考えることが必要です。多くの方は、
- 「うちに限って相続でもめるなんてありえない」
- 「たいした財産もないのに遺言なんて・・・」
と思われるかもしれません。一方で、
- 「親族間の仲が悪いため、先に遺言を書いておいて、自分が死んだあとに揉めないようにしたい」
と、相続人が揉めそうだと既に心配されている方も多いでしょう。相続の問題は非常に根が深く、法律だけでは解決できない感情の問題が多く含まれています。そのため、一度こじれると収拾がつかなくなり、全員が傷ついてしまう悲しい結果になることが多くあります。
私も弁護士として、多くの辛い状況を経験してきました。例えば、
- 自分と一緒に生活して老後の面倒を見てくれた子供に全ての財産を引き継がせたいと思っていたが、遺言を残さなかったために、他の子供との間で相続争いが発生し、完全に仲違いしてしまったケース
このような悲しい状況を避けるためには、「遺言を書く」もしくは専門家に「遺言を書いてもらう」ことが唯一の方法と言えます。遺言書があれば、時間がかかる場合もありますが、書いた人の希望に近い形で相続が進むことが多いです。遺言書がない、もしくは見つからない場合、相続がスムーズに進まないことが多いです。
しかし、「いま遺言書を書いておこう」や「親に遺言書を書いてもらおう」と思っても、法律的に有効な書き方をするのは一人では難しい場合があります。また、親に遺言書を書いてもらう際に、どのように話を進めれば良いのかわからないことも多いでしょう。さらに、専門的な知識が少ないまま遺言を書いてしまうことで、損をすることもあります。
遺言書がないために、残された遺族が争ってしまう?
実は、相続トラブルになるケースの多くは「遺言書がないため」に起こります。
なぜなら遺言書がない相続は、遺産分割の割合を決めるとき、相続人全員の押印が必要になるからです。
つまり、ひとりでも納得できない人がいると、遺産を分けることができなくなります。
したがって、相続において重要なのは生前対策で以下のことを準備しておくことが必要です。
相続でトラブルにならないためにできること
・子どものために生前対策として遺言書を書くこと
・両親に遺言書を作成しておいてもらうこと
財産が少なければ、遺言書は必要ない?
実は、相続する財産が少ないから大丈夫と思っているご家庭は危険です。
その証拠に、日本で起こる遺産価額0~1000万円のご家庭で起こる相続トラブルが、全体の30%以上を占めているという調査もあります。
どのご家庭でも、トラブルに発展する可能性があることを覚えておいていただきたいと思います。
遺言書を書いた方がいい人とは?
その中でもとくにトラブルに発展しやすいのは以下の方々です。
以下の内容にひとつでも当てはまった方、その親族の方は注意が必要です。
- 前婚の子どもがいる人
- 親族に障がいや認知症の方がいる人
- 行方不明、連絡がつかない子どもや兄弟がいる人
- 親族以外に財産を残したい人
- 相続人同士の仲が悪い人
- 実家や土地などの不動産がある人
- 自分の意思で遺産の分け方を決めたい人
- 内縁の妻がいる人
- 株を持っている人
- 財産を特定の団体に寄付したい人
遺言書によるトラブル体験談
田中さん(仮名、50代女性)は、献身的なお孫さんでした。
5年間もの間、体の悪い祖父の面倒を日ごろから見ていました。
祖父は、自身の面倒を見てくれる田中さんに「遺産を残したい」と常々話しており、遺言書も作成していると伝えていました。
大変でしたが、充実した楽しい日々でした。
その祖父が亡くなり、机の引き出しから遺言書が出てきたのですが、文面自体からはどの不動産をあげたいのか、どの預金を上げたいのかが明記されていませんでした。
遺言書に効力がなかったのです。
登記手続きや預貯金の解約が難しそうだったので、弁護士に遺産分割を依頼することに。
結果、時間と労力がかかってしまった上に、払う必要のなかった弁護士費用も払わなくてはいけなくなりました。
田中さんは「遺言書をちゃんと書いて貰っておくべきだった。」と悲しくなってしまいました。
効力のある遺言が残すには弁護士に相談するのが効果的
このように遺族のために遺言書を残したとしても、無効になってしまうリスクがあります。
もし弁護士に遺言書を依頼していた場合はどうなっていたでしょうか。
田中さんはおじいちゃんから納得いく相続財産を得ることができ、他の家族も納得できて全員幸せです。
「おじいちゃん、残された家族のことを考えてくれてありがとう!」ととても感謝されたことでしょう。
遺言書を弁護士に依頼することで、確実な遺言書を残すことができます。
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