離婚した親の借金を相続しないために知っておくべき知識を弁護士が解説!

離婚した父親が亡くなった場合、その遺産を相続できるのか、相続権があるのか不安を抱える方も多いのではないでしょうか。本記事では、離婚後の相続に関する法律や注意点を詳しく解説します。特に、父親が再婚している場合や新しい家族がいる場合、遺産分割で起こり得るトラブルや解決策についても触れています。相続権の有無や相続手続きの進め方を正しく理解することで、問題を未然に防ぎ、スムーズな対応が可能です。

目次

疎遠だった実親の相続トラブル|借金返済の督促状が届いたら?

たとえば、両親が15年前に離婚し、母親が親権を持ち、子どもは父親の戸籍を抜けて母親と暮らしていたケースを想定します。父親とは長年疎遠で、養育費の支払いもなく、子ども自身も父親の存在を忘れて生活していました。そんなある日、突然消費者金融会社から「借金返済の督促状」が届き、父親の借金を子どもが相続人として負担するよう求められたとします。母親は「親権を持っているのに、なぜ子どもが借金を相続するの?」と驚くかもしれません。

こうした事態を避けるには、子どもが借金を相続しないための手続きや相続放棄について正しく理解しておくことが重要です。

離婚後も子どもは親の相続人|注意すべきポイント

子どもは離婚後も親の法定相続人

両親が離婚しても、子どもは父母それぞれの法定相続人のままです。たとえ親権が片方に移り、もう片方の親と疎遠になっても、子どもは実親の財産や借金を相続する権利と義務を持ち続けます。

親権や戸籍は相続に影響しない

親権は未成年の子どもを保護する権利・義務であり、相続権とは無関係です。また、子どもが親の戸籍から抜けていたとしても、実親である限り相続人であることに変わりはありません。

普通養子縁組をしても相続権は消えない

再婚後、子どもが新しい親と普通養子縁組をしても、実親の相続権は残ります。一方で、特別養子縁組の場合、法律上の親子関係が消滅するため、相続権はなくなります。

代襲相続にも注意が必要

親が亡くなる前に祖父母が亡くなった場合、孫にあたる子どもが祖父母の代襲相続人となる可能性があります。さらに、親の相続を放棄しても、代襲相続の権利が発生するため、不要な負担を避けるには相続放棄を再度申請する必要があります。

離婚した親が亡くなった場合の連絡パターン

離婚後、疎遠になっていた親が亡くなった際に連絡がくるケースはさまざまです。自動的に通知されるわけではなく、以下のような方法で連絡が届く可能性があります。

親族や相続人からの連絡

最も一般的なのは、兄弟姉妹や親族から連絡を受けるケースです。また、離婚後に再婚した相手やその家族から連絡がある場合もあります。

役所からの連絡

親が一人暮らしをしていた場合、死亡後に市区町村役所が戸籍をたどり、家族に遺品や遺骨の引き取りを依頼して連絡することがあります。

警察からの連絡

事件や事故、孤独死などの場合、警察が遺品や戸籍を基に家族を特定し、連絡をするケースも考えられます。

債権者からの連絡

親が借金をしていた場合、債権者から返済請求が届き、その連絡で親の死亡を初めて知ることもあります。この場合、適切な対応が必要です。

連絡がこない場合

再婚した家族が離婚前の子どもの存在を知らない場合など、全く連絡がないこともあります。親の戸籍を取得すれば、死亡の有無を確認できます。

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離婚した親の死亡連絡を受けたときの対応

疎遠だった親の死亡連絡を受けたら、相続人として適切な手続きを始める必要があります。

関わりたくない場合は相続放棄を

親と関わりたくない場合は、家庭裁判所で相続放棄を行いましょう。放棄手続きには、親の死亡を知った日から3カ月以内という期限があります。この手続きを怠ると、借金などのマイナスの財産を相続するリスクがあります。

相続を検討する場合は調査から始める

相続を検討する場合、まず相続人調査と財産調査を行います。相続人調査では誰が相続人なのかを確認し、財産調査ではプラスの財産と借金などのマイナスの財産を明確にします。これらの調査は弁護士に依頼することで効率よく進めることができます。

プラスの財産が多い場合は、他の相続人と協力して遺産分割協議を進め、円滑な相続手続きを目指しましょう。

離婚した親の借金を相続しない方法

財産調査の結果、親の遺産が借金などのマイナス財産である場合、以下の方法で対応できます。

相続放棄を3カ月以内に行う

親の借金を引き継ぎたくない場合、相続人であることを知った日から3カ月以内に家庭裁判所で相続放棄の手続きを行いましょう。この手続きにより、借金の支払い義務を完全に免れることができます。

限定承認は慎重に検討する

限定承認は、相続で得たプラスの財産の範囲内で借金を返済し、残った財産を相続する方法です。しかし、相続人全員の合意が必要であり、手続きに時間と費用がかかるため、実際にはあまり利用されていません。限定承認を選ぶと借金が残る心配はありませんが、多くの場合、相続放棄の方が簡便で実行しやすい方法です。

なお、生命保険金は相続財産には含まれません。子どもが受取人に指定されている場合、相続放棄をしても生命保険金を受け取ることが可能です。

弁護士 御厨

離婚した親の借金を相続しないためには、早めに相続放棄の手続きを行うことが重要です。「疎遠だったから自分には関係ない」と放置していると、知らぬ間に借金を相続し、最悪の場合、自己破産に追い込まれることもあります。
そのような事態を避けるため、親の死亡連絡を受けたら速やかに状況を確認し、必要であれば弁護士に相談しましょう。専門家のサポートを受けることで、的確な手続きを進めることができます。

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この記事を書いた人

弁護士|注力分野:相続

現在は立川の支店長弁護士として相続分野に注力して奮闘しております。今後も相談者の心に寄り添い、活動していく所存です。どのような法律問題でも、お気軽にご相談ください。

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