相続争いは「普通の家族」で起こり得る
「兄弟間で相続争いなんて無縁だ」と思っていませんか? 実は、相続争いは特別な家庭だけでなく、どんな家族でも起こり得る問題です。
相続人間で意見が分かれた場合は、相続トラブルに強い弁護士に相談することが賢明です。ここでは、相続トラブルに強い弁護士の選び方や、相談するメリット、費用について解説します。
兄弟(被相続人の子)の相続分
民法では、相続人とその相続分が法定されています。被相続人の配偶者は常に相続人であり、子どもも相続人になります。子どもが複数いる場合は、相続分は均等に分配され、たとえば子どもが3人の場合、それぞれ1/3ずつの相続分となります。
たとえ生前贈与や遺贈があったとしても、遺留分として一定額は保障されています。子どもの遺留分は法定相続分の1/2であり、上記の例では相続財産の1/6となります。遺留分に満たない場合には、生前贈与や遺贈を受けた人から金銭の支払いを受けることができます。
兄弟間で起きやすいトラブルと予防策
相続時に発生しやすいトラブルを六つのケースにまとめ、それぞれの予防策を紹介します。
トラブル例1:相続財産が不明確
長男が両親と同居し、長女が別居している場合、両親の死後に長男が「相続財産が期待したほどない」と主張し、長女が「長男が財産を隠している」と疑うケースがあります。
こうしたトラブルを防ぐには、両親に財産目録を作成してもらうことが重要です。また、財産管理を任された場合には、財産目録や収支の記録を作成し、関係者に内容を共有してもらうことが大切です。
トラブル例2:同居の子と他の兄弟の貢献度
長男が両親の日常の世話をし、長女が両親を外出に連れ出していた場合、両親への貢献度に差が生じることがあります。このような場合、法定相続分どおりに財産を分けることに納得できない可能性があります。
貢献度をお互いに理解し合うためには、生前から両親に対する自分の貢献を兄弟に伝えるとともに、兄弟の貢献も把握しておくことが必要です。遺言に感謝の気持ちと分配方法を明記してもらうのも一つの方法です。
トラブル例3:不動産しか財産がない
相続財産が実家だけの場合、実家を相続する長男に対して長女が見返りを求めることでトラブルになることがあります。
この場合、両親に遺言を作成してもらうことや、長男を受取人にした生命保険を掛けておくことが予防策となります。生命保険金は相続財産ではなく長男の個人財産となるため、長男は保険金で長女に代償金を支払うことができます。
トラブル例4:生前贈与・遺言が不公平
生前贈与や遺言で長男が全財産を相続する場合、法定相続分を期待していた長女が不満を抱くことがあります。
こうしたトラブルを防ぐためには、生前贈与や遺言の理由を文書で記載し、事前に話し合いを持つことが大切です。また、遺留分侵害額請求を防ぐために、長男を受取人にした生命保険を掛けたり、遺留分を放棄してもらうことも考えられます。
トラブル例5:音信不通の兄弟がいる、知らない兄弟が現れる
音信不通の次男が突然現れ遺産を要求したり、存在を知らなかった兄弟が現れて遺産を主張したりするケースがあります。戸籍を調査して兄弟の存在を確認し、両親に遺言を作成してもらうことで、こうしたトラブルを防ぐことができます。遺言があれば遺産分割協議の必要がなく、連絡の取れない兄弟がいても遺産を自由に使うことが可能です。ただし、連絡の取れない兄弟の遺留分が侵害されている場合、相続開始から10年間は遺留分侵害額請求をされる可能性があります。
音信不通の兄弟を探し出すのも弁護士であれば、可能なので一度ご相談ください!
トラブル例6:兄弟の配偶者が口を出す
長男が実家を相続し、長女が何ももらわなくても良いと思っていたが、長女の配偶者が「もらえるものはもらうべきだ」と主張して口を出すことがあります。これが感情的な対立を招くこともあります。配偶者に口を出させないためには、両親の生前から配偶者を交えて将来の遺産分割について話し合うことが効果的です。
相手側の配偶者から口を出されると、モヤモヤする感覚、とてもよくわかります。感情的になると話が拗れる可能性もあるので、一歩引いて大人の対応することが肝要です。
トラブルが起きてしまったらどうする?
トラブルが発生した場合は、正確な情報を開示し、誠実に話し合うことが重要です。解決が難しい場合には弁護士を交えた協議を行うこともできます。また、裁判所の家事調停や審判を利用すれば、中立的な第三者を介して協議し、解決策を見出すことができます。
まとめ
兄弟間の仲が良くても油断せず、生前から意思疎通を図り、遺言を用意するなどの準備が重要です。協議が難航しそうな場合は、早めに弁護士など第三者の介入を検討しましょう。