相続人不在!身寄りがない人の財産はどうなるかを弁護士が解説

身寄りがない方が死亡した場合の財産の行方や処理方法について詳しく解説します。相続人がいない場合、財産は誰が管理し、どのように処理されるのか?特別縁故者や国庫帰属の仕組み、遺言書の重要性も含め、わかりやすく説明します。相続問題に備えるための参考にぜひご覧ください。

目次

身寄りのない人の死亡件数が増加中

高齢化社会の進行や、核家族化により家族とのつながりが薄れる中、身寄りのない人の死亡件数は増加傾向にあります。総務省が実施した「遺留金等に関する実態調査」によると、平成30年4月1日から令和3年10月末までに、引き取り手がいない遺体の数は10万6,000件にのぼることが報告されています。

さらに、身寄りがない方の遺留金(遺されたお金)の保管額も増加しており、調査年別の遺留金額は以下の通りです。

  • 平成30年3月末時点:約13億500万円
  • 令和3年3月末時点:約19億7,700万円
  • 令和3年10月末時点:約21億4,900万円

このように、今後も高齢化社会が進行する中で、身寄りのない人の相続問題は、誰にとっても無関係ではないと言えるでしょう。

相続に関して不安がある方は、ぜひ無料相談をご利用ください。

身寄りのない人が亡くなると、誰が財産を相続するのか?

法律に基づき、相続が発生した場合、財産を受け継ぐ人物には優先順位があります。

相続人の優先順位

  1. 常に相続人となる人物:配偶者
  2. 第一順位:子どもや孫
  3. 第二順位:親や祖父母
  4. 第三順位:兄弟姉妹や甥・姪

身寄りがなく、上記のいずれにも該当する人物がいない場合、以下の方法で相続が行われます。

遺言書で指定された人物

もし生前に遺言書を残していれば、指定された人物が財産を相続します。配偶者や子どもがいない場合、世話になった人や慈善団体などに財産を寄付することも可能です。遺産を寄付する際は、必ず寄付先と事前に確認し、適切に遺言書を作成しましょう。

特別縁故者

もし相続人も遺言書もない場合、特別縁故者が遺産を受け取る可能性があります。特別縁故者とは、亡くなった方と特別な関係にあった人物で、内縁の妻や夫、義理の子供などが該当します。

ただし、特別縁故者が自動的に決まるわけではなく、家庭裁判所で手続きを行い、要件を満たすことが必要です。特別縁故者が遺産を受け取るまでの流れは、非常に複雑で手間がかかるため、専門家である弁護士に相談することをおすすめします。

最終的に財産は国庫に帰属

相続人も遺言書も特別縁故者もいない場合、最終的に身寄りのない人の財産は国庫に帰属されます。この際、相続財産清算人が遺産の管理と手続きを担当します。相続財産清算人とは、相続人に代わり遺産の整理を行う人物で、令和5年の民法改正前は「相続財産管理人」と呼ばれていました。

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身寄りのない人が亡くなったときに起こる問題

身寄りのない方が亡くなると、財産が国庫に帰属するだけでなく、孤独死に気づかれない、遺品整理を行う人がいないなど、さまざまな問題が発生します。具体的には以下のような問題が挙げられます。

  • 孤独死が発覚するまでに時間がかかる
  • 葬儀や遺品整理を行う家族がいないため、手続きが複雑になる
  • 葬儀費用を友人や知人、遠縁の親族が負担する可能性がある
  • 遺産が希望する人物に引き継がれない
  • ペットの引き取り手が見つからない

これらの問題を防ぐためにも、身寄りのない方は相続対策や終活を事前に進めておくことが重要です。

身寄りのない人が行うべき相続対策

身寄りのない方は、相続人がいない場合、財産が最終的に国庫に帰属する恐れがあります。希望する人物や団体に財産を受け継いでもらうためには、事前に対策を講じることが大切です。主な相続対策は以下の通りです。

  • 遺言書を作成する
  • 任意後見制度を活用する
  • 死後事務委任契約を検討する
  • 身元保証サービスを利用する

それぞれの対策について詳しく解説していきます。

遺言書を作成する

遺言書を作成しておくことで、自分が亡くなった後、希望する人物や団体に財産を引き継ぐことができます。遺産を世話になった人や慈善団体に寄付したい場合は、遺言書を用意しておくのが効果的です。

また、遺言書を作成する際には、遺言執行者も選任しておくことが推奨されます。遺言執行者は、遺言の内容に基づいて財産を分配する役割を持ち、弁護士など信頼できる専門家を選ぶことが一般的です。

任意後見制度を活用する

任意後見制度を利用することで、自分が認知症などで判断能力を失った後でも、財産管理や契約行為を希望する人物に託すことができます。任意後見人は自分で選ぶことができ、信頼できる弁護士を選任することも可能です。

この制度は、自分が元気なうちに契約内容を決めておくため、判断能力を失った後でも安心して生活を続けることができます。

死後事務委任契約を検討する

身寄りのない方が亡くなった後、葬儀や遺品整理、公共料金の停止などの手続きを依頼するのが死後事務委任契約です。この契約を結んでおくことで、葬儀や埋葬、入院先の費用支払いなど、さまざまな事務手続きをスムーズに進めることができます。

契約の相手は自由に選べますが、法律の専門家である弁護士などに依頼すると安心です。

身元保証サービスの利用を検討する

介護施設や病院への入所時に身元保証人を見つけられない場合、身元保証サービスを利用することも一つの選択肢です。このサービスは、高齢者の日常支援や入院、施設入所時に保証人としての役割を果たしてくれます。

ただし、利用には費用がかかるため、サービス内容をよく確認し、自分に合ったものを選ぶことが重要です。

身寄りのない人が亡くなったときによくある質問

身寄りがない方が自分の老後や亡くなったときの対策を考える際、具体的なイメージが湧かずに悩むこともあるでしょう。本章では、身寄りがない方が亡くなった際によく寄せられる質問について、回答と共にご紹介します。

身寄りのない人の葬儀や火葬・納骨はどうなるのか?

身寄りがない方が亡くなった場合、自治体が遺体を引き取り、火葬や埋葬が行われますが、通常葬儀は行われません。ただし、遠縁の親族や近隣の住民、入所施設が葬儀を行うケースもあります。葬儀費用は故人の遺産から支払われますが、遺産がない場合は、葬儀を執り行う人が費用を負担することになります。

火葬後の遺骨は、一定期間自治体で保管され、その後合同で埋葬されることが多いです。

身寄りのない人の電気・水道・携帯料金の契約はどうなる?

身寄りのない方が亡くなっても、電気や水道、携帯電話の契約は自動的に解除されません。銀行口座が凍結されるまで、公共料金や携帯電話の支払いは口座から引き落とされ続けます。口座が凍結されずに預金がなくなると、各会社が未払い料金を請求し、督促状を送ることがあります。

身寄りのない人の遺品はどうなるのか?

身寄りのない方の遺品も相続財産に含まれるため、第三者が勝手に処分することはできません。賃貸住宅に住んでいた場合、貸主が遠縁の親族や保証人に遺品整理を依頼します。保証人もいない場合、相続財産清算人が遺品整理や処分、賃貸契約の解除を行いますが、手続きには時間がかかることが多いです。

身寄りのない人が死亡した後の手続きの流れは?

相続人がいない場合、以下の手順で相続手続きが進められます。

  1. 相続財産管理人選任の申立て
  2. 相続財産管理人の選任
  3. 債権者・受遺者への公告
  4. 相続財産の精算・債務の弁済
  5. 相続人の捜索
  6. 相続人不存在の確定
  7. 特別縁故者への財産分与審判の申立て
  8. 特別縁故者の認定

最終的に特別縁故者がいない場合、遺産は国庫に帰属します。

身寄りのない人が亡くなると遺体は誰が引き取る?

身寄りのない方が亡くなった場合、警察の連絡を受けて自治体が遺体を引き取ります。その後、親族や相続人がいるかどうか探され、見つからない場合は自治体が火葬・埋葬を行います。遺族が遺体の引き取りを拒否することも可能です。

身寄りのない人が亡くなると自宅はどうなる?

持ち家を所有していた場合、最終的に処分されて国庫に帰属します。ただし、遺言書がある場合、希望の人物に自宅を譲ることができます。また、特別縁故者が自宅を相続することも可能です。内縁の妻や夫、義理の子供に自宅を譲りたい場合は、遺言書を作成しておくと良いでしょう。

身寄りのない人はどのような終活を行うべき?

身寄りのない方は、自分が亡くなった後の財産や老後の対策として、以下の終活を進めるのがおすすめです。

  • エンディングノートの作成
  • 見守りサービスの利用検討
  • 老後資金の計画
  • 相続対策や遺言書の準備
  • 認知症対策や延命治療の方針決定
  • 葬儀やお墓の準備
  • 身元保証サービスや死後事務委任契約の利用検討
  • ペットの引き取り先を見つける
  • 自分の人生を楽しむための「やりたいことリスト」の作成

時間がかかるものもあるため、早めに準備を始め、専門家に相談しながら進めると良いでしょう。

弁護士 御厨

高齢化社会の進行により、身寄りのない方の死亡件数は増加が予想されます。相続人がいないと、遺産は最終的に国庫に帰属するため、希望する人物に財産を遺したい場合は遺言書の作成が必要です。
また、遺言書だけでなく、任意後見制度や身元保証サービスを活用し、老後や緊急時の対策も進めておくことが重要です。終活や相続対策に関して不安がある場合は、弁護士に相談するのがおすすめです。

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この記事を書いた人

弁護士|注力分野:相続

現在は立川の支店長弁護士として相続分野に注力して奮闘しております。今後も相談者の心に寄り添い、活動していく所存です。どのような法律問題でも、お気軽にご相談ください。

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