人生の終盤を迎えるにあたり、誰もが心に抱くのは「自分が亡くなった後、残された人々に迷惑をかけたくない」という思いではないでしょうか。
近年、注目を集めている「死後事務委任制度」は、そんな思いを持つ方々にとって非常に有効な手段です。死後の手続きを事前に委任することで、家族や親族の負担を軽減し、自分の希望を尊重した形で終末を迎えることができます。
見守り契約・任意後見・死後事務委任とは?
1. 見守り契約
「見守り契約」は、高齢者が安心して生活できるよう、定期的に生活状況の確認や安否確認を行う契約です。例えば、定期的な電話連絡や訪問を通じて、その方の健康状態や生活環境をチェックし、必要に応じて支援を行います。特に、一人暮らしの高齢者や、遠方に住む家族がいる方にとって、見守り契約は生活の安心を確保するための有効な手段です。また、緊急時の対応や行政手続きのサポートも含まれる場合があり、柔軟な支援が提供されます。
2. 任意後見
「任意後見」は、将来認知症などで判断能力が低下した場合に備えて、あらかじめ自分の信頼できる人(後見人)に財産管理や生活支援を依頼する契約です。任意後見契約は本人の意思に基づいて行われ、必要なタイミングで契約が発効します。これにより、本人の生活や財産管理が自分の意向に沿った形で進められるため、安心して生活を続けることができます。任意後見契約は、公正証書で作成されるため、法的にも保護される制度です。
3. 死後事務委任
「死後事務委任」は、自分が亡くなった後の手続きや財産の整理、葬儀の準備などを信頼できる第三者に任せる契約です。この契約により、遺された家族や親族に負担をかけることなく、自分の意思に基づいた手続きを行ってもらえます。死後事務委任には、葬儀の手配、遺品の整理、公共料金や各種サービスの解約、納骨など多岐にわたる手続きが含まれるため、事前に契約内容をしっかりと定めておくことが重要です。
見守り契約・任意後見・死後事務委任を弁護士に依頼するメリットは?
1. 家族や親族がいる場合も負担や迷惑をかけずに済む
死後事務委任を事前にしておくことで、家族や親族に対する負担を大幅に軽減できます。
多くの場合、亡くなった後の手続きや財産の整理などは残された家族にとって大きなストレスとなります。
しかし、死後事務委任をすることで、そうした煩雑な手続きを専門家や信頼できる第三者に任せることができ、家族は悲しみの中でさらに大きな責任を負うことなく過ごすことができます。
2. 信頼できる相手に依頼をすると安心して老後を過ごせる
死後の手続きを信頼できる相手に依頼しておくことで、老後を安心して過ごすことができます。
どのような形であれ、自分の意思を反映した形で死後の事務手続きが行われるという安心感が得られ、将来に対する不安が軽減されます。
特に一人暮らしの高齢者や、近くに頼れる親族がいない方にとっては、信頼できる第三者に死後事務を託すことは、大きな心の支えとなるでしょう。
3. 自分の財産を託す相手に関しても希望を伝えられる
死後事務委任契約を通じて、自分の財産の整理や相続に関する希望を明確にしておくことが可能です。
財産をどのように分配するか、またはどのように整理してほしいかを予め決めておくことで、遺された方々に不必要なトラブルや不安を避けることができます。
これにより、本人の意志を尊重した形で財産が管理されるため、自分の考えに沿った形での死後の手続きが可能となります。