「遺産相続の不平等」で兄弟同士が揉めたときの対応策を、弁護士が解説!

遺産相続において兄弟間で不平等が生じるケースは少なくありません。不公平な遺産分割や特定の兄弟だけが多くの財産を受け取る状況は、家族間のトラブルを引き起こす原因となります。遺言書の有効性確認や、遺留分の主張、特別受益や寄与分の適用など、法的な対処法を理解することが重要です。また、相続人全員で話し合いを行い、合意形成を図ることが解決への第一歩となりますが、話し合いで解決できない場合は家庭裁判所への調停申立ても視野に入れましょう。

目次

兄弟から不公平な提案を受けたときにまずすべき2つのこと

遺産相続で兄弟から不公平な提案をされた場合、最初に行うべきことは以下の2点です。

遺言書があるなら、その有効性を確認する

遺言書に納得できない遺産分割の内容が書かれている場合、まずその遺言書が法律的に有効かどうかを調べましょう。遺言書は民法で厳格な形式が定められており、それに沿わないものは無効となります。特に自筆証書遺言は不備が多い傾向があるため注意が必要です。

相続人全員で話し合う

有効な遺言書があっても、相続人全員の合意があれば遺言と異なる遺産分割も可能です。感情的にならず法的根拠をもとに冷静に話し合うことが大切です。話し合いが難しい場合は弁護士に相談したり、家庭裁判所に調停を申し立てることも検討しましょう。

※有効な遺言書で受遺者や遺言執行者がいる場合は、その同意も必要です。また遺産分割協議禁止の遺言の場合は話し合い自体ができません。

パターン別|話し合いで主張すべきポイント

兄弟間でよくある不公平な分割案と、話し合いで主張すべき法的根拠を3つのパターンに分けて解説します。

不公平のパターン具体例主張のポイント(民法)
遺言書に不公平な内容がある場合「全財産を長男に遺す」と記載されていた遺留分の侵害(第1042条)
特別な利益を受けた相続人がいる場合長男だけ高額な生前贈与があった特別受益(第903条)
特別な貢献をした相続人がいる場合長女が長年介護をしていた寄与分(第904条の2)

遺言書の不公平なら「遺留分の侵害」を主張する

「全財産を長男に」など明らかに不公平な遺言の場合、遺留分を侵害している可能性が高いです。遺留分は兄弟以外の法定相続人に保障された最低限の取り分で、遺言があっても侵害は許されません。

特別受益がある場合は「特別受益の持ち戻し」を主張する

生前贈与や遺贈で特定の相続人が多くの利益を受けていた場合、特別受益として遺産に加算し、公平に遺産分割する制度です。生前贈与は婚姻や養子縁組など特定の目的で行われたものが対象となります。

特別な貢献があれば「寄与分」を主張する

長年介護など被相続人の財産の維持・増加に特別の貢献をした場合、他の相続人より相続分を増やせる可能性があります。寄与分は社会通念上かなり大きな貢献があった場合に認められます。

話し合いがまとまらない場合は家庭裁判所の調停を活用

話し合いで解決しない場合や話し合い自体が困難な場合は、家庭裁判所に調停を申し立てることができます。下記のように、ケースごとに申し立てる調停の種類が異なります。

パターン手続名
遺留分を侵害されている場合遺留分侵害額請求調停
特別受益がある場合遺産分割調停
寄与分・特別寄与分がある場合寄与分を定める処分調停、特別寄与に関する処分調停
単純に不平等な提案(例:長男だけ相続)遺産分割調停

調停の手続きは、弁護士に依頼するとご自身の負担を減らし的確な主張が可能です。

まとめ

兄弟から不公平な相続提案を受けた際の対応ポイントをまとめます。

  • 遺言書があればその有効性をまず確認する
  • 相続人全員で話し合う
  • 遺留分、特別受益、寄与分がある場合は法的主張をする
  • 話し合いで解決しなければ家庭裁判所に調停を申し立てる

遺産分割や相続税に関して疑問があれば、弁護士法人琉球スフィアまでお気軽にご相談ください。

お電話でのお問い合わせ

ボタンを押すと電話が掛けられます

Web予約はこちら

たった1分でカンタン!

この記事を書いた人

弁護士|注力分野:相続

現在は立川の支店長弁護士として相続分野に注力して奮闘しております。今後も相談者の心に寄り添い、活動していく所存です。どのような法律問題でも、お気軽にご相談ください。

目次