問題点
遺産分割協議が進まない
相続人全員の同意が必要な遺産分割協議ですが、兄弟の誰かと連絡が取れないと協議自体が始められません。
特に遺言書が残されていない場合は、相続人全員で話し合って財産の分け方を決めなければならず、音信不通の兄弟がいるとそのプロセスがストップしてしまいます。
この状態が続くと、以下のような問題が生じます
- 不動産を相続できず活用や売却ができない
- 固定資産税や維持費を払い続ける必要がある
- 貴金属や宝石などの動産が散逸・紛失するリスク
後から手続きの無効を主張されるおそれ
仮に音信不通の兄弟を無視して手続きを進めたとしても、後日「自分の同意がなかった」と主張され、遺産分割が無効になる可能性があります。
また、兄弟以外の相続人がいる場合には、遺言による分配が「遺留分」を侵害していると判断されると、金銭の支払い(遺留分侵害額請求)を求められるケースもあります。
不動産の相続・遺言に強い弁護士事務所

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解決策
音信不通の兄弟がいる場合、第一にすべきは「どこにいるのか」を明らかにすることです。以下の手段があります。
まずは所在調査から
自力で調べる方法
- 戸籍謄本や戸籍の附票を取得し、本籍地や住所履歴から現在地を探ります。
- ただし、複数の自治体をまたぐ場合は手間や時間がかかる点に注意が必要です。
探偵への依頼
- 探偵事務所が所在調査を請け負うことも可能ですが、費用が高くなる傾向があり、限界もあります。
弁護士への依頼
- 弁護士は職務上、戸籍や住民票などを取得して調査を進めることができます。
- 調査とあわせて、遺産分割協議の手続きや法的対応まで任せられる点が安心です。
法的手続きを使う
どうしても所在がわからない場合は、家庭裁判所で次のような手続きを取ることが可能です。
不在者財産管理人の選任
- 家庭裁判所に申し立てを行い、行方不明者の代理人を立てて手続きを進めます。
- ただし、行方不明者の利益を保護する役割のため、申立人の希望に沿った形になるとは限りません。
失踪宣告の申し立て
- 一定期間(通常7年以上)連絡が取れない場合、「法律上の死亡」とみなされる制度です。
- ただし、その兄弟の相続人(子など)への「数次相続」が発生し、手続きが複雑になることもあるため慎重に判断しましょう。
遺言書の作成で備える
相続がまだ発生していない場合は、被相続人に遺言書を作成してもらうことで、遺産分割協議を避けることができます。
ただし、他の相続人の遺留分を侵害していないか、内容を慎重に確認する必要があります。
法定相続分に従って登記を行う
不動産に限っては、遺産分割協議が成立していなくても、法定相続分に従って相続登記をすることが可能です。
ただし、売却などを希望する場合には全相続人の同意が必要なため、結果的に所在不明の兄弟に対応しなければならなくなります。
相続放棄をする
相続開始を知った日から3か月以内であれば、相続放棄という選択肢もあります。
「特に欲しい財産がない」「音信不通の兄弟を探すのは避けたい」という場合には、現実的な方法のひとつです。
よくある質問
Q1. 見つかったが連絡に応じない兄弟がいる場合は?
→ 家庭裁判所に「遺産分割調停」を申し立て、裁判所を通じて話し合いの場を設けることができます。
Q2. 音信不通の兄弟がすでに亡くなっていた場合は?
→ その兄弟に子どもがいれば「代襲相続人」となり、代わりに遺産分割協議に参加する必要があります。
音信不通の兄弟がいる相続は、思わぬトラブルや手続きの遅延を招く原因になります。
調査や手続きに多くの手間や時間がかかるため、早めに弁護士へ相談することが最善の対策です。